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親父が亡くなってすぐ、知人から近代銭の特年の買取を頼まれた。
持ち込まれたコインは「貿易銀8年」「旧一圓銀貨」「旭日竜」などで、贋物が横行している昨今、正直言って「イヤだなぁ・・・」と思った。買われたという値段にしては、状態は全て良くない。まず、出所を伺う。
案の定、今はなくなってしまった店だが、あまり信用できるとは言えない。
価格が安いコインから見ていく。大丈夫だ。しかし、「旧一圓」と「旭日竜5銭」は明らかに目方が軽い。
ダメだ!!そうなると肝心の「貿易銀」も贋物の可能性が高い。
今までの経験からすると明治8年銘のコインは、贋物が多い。ルーペで子細に見る。
 「菊の御紋」「葉」「馬の歯」「玉列」「竜図」
コインの表面にキズは多いが、一応クリア。更に修正がないか、丹念に見る。
でも何かスッキリしない。最後に音を聞く、やっぱりそうか。
響きの最後の余韻に微かだが曇りがある。

以前、私が並年の圓銀を数枚買い取った時、父が一枚一枚ルーペで見て、

 「大丈夫だな。」

 「そう。良かった。」

と安心していると

 「オイ!ちょっと待て。この27年の音を聞いてみろ。最後の響きにひっかかるものがある。
これはダメだ!少しでも気になる物は店頭に出すな。」

と言った事を思い出した。
知人に丁寧に説明し、買取はできない旨を伝えると、ひどくがっかりした様子で

 「持って帰っても見る度にがっかりするから、捨てて下さい。」

との事。

 「贋物は騙したと思われてもイヤだから、お持ち帰りいただく事になってます。」

と言っても、わかってもらえない。
何度かの押し問答の末、

 「それでは、今後の勉強のために使わせて頂きます。」

という事で、受け取った。
それから知人が帰った後、店にある「貿易銀8年」と比べてみた。音を聞く前に何処がスッキリしなかったのか?
品がなかった。「貿易銀」として訴えかけてくる威圧感がなかった。

お父さん、ありがとう。
20年間私は、毎日真正品を見せていただきました。どんな説明よりもその事の方がどんなに大切な事か、よくわかりました。そして今、私は父の遺志を継いで、

 「自分の納得しないものは売らない。」

そう心に決めました。
それにはもっともっと勉強しなければいけません。
お父さん、私は今、毎日あなたが愛用していた古銭の数々の書物を手に(それには赤いペンで説明が加えられていたり、拓をとらないとハッキリしないものには拓がそえてあったり)、一枚一枚コインを見ています。
そうすると、悠久の時を経て生き続けているコインよ、お前達が愛おしく、コインは芸術だと改めて感じるのです。

(Vol.9追記へ続く)

平成16年8月7日
ちづる 名前: ちづる
生年月日: 年齢不祥(ということにしておいて)
趣味: パチ○○(大きな声じゃ言えないが)
好きな食べ物: お寿司・ライチ(楊貴妃が好んで食べたから)
好きな時間: 仕事が終わってビールを飲む時
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