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お父さん、お父さんの30年来のお客様からお手紙をいただきました。

"石塚小五郎先生のご逝去、心よりお悔やみ申し上げます。前回、ちづるさんから肺線維症と聞き、困った病気だなとは思っていましたが、これほど早く亡くなられるとは何とも残念なことでした。

まだまだこれから円熟した古銭家として、業界の重鎮としてのご活躍が期待されている中での訃報であり、私自身まだまだ多くのことを学びたかったと悔やむことしきりです。

私が最初に先生にお目にかかったのは大学の夏休み、現在山形で歯科医院を開業している高校の同級生のマンションに泊りがけで遊びに行き、日中彼が所用で留守のとき、貨幣商協同組合のカタログの地図を頼りに訪ねたときでした。昭和50年代前半のことです。

そのときは前漢五銖の分類の仕方を教えていただき、数枚の前漢五銖をいただいてきました。
その後、年に1〜2回ではありますが、それまでの私の収集品を教材にして真贋やバリ島物などの鑑別を教えていただきました。

机上論ではなく、私が本物と思い込んでいたものを俎上に上げ、鑑別を教えていただき、得がたい勉強ができました。

そごうに出店する以前は井土ヶ谷へ真直ぐ行きましたが、そごうに出店してからははじめに井土ヶ谷のお店に行き、その後そごうへ行くようになりました。
売りたくないものは井土ヶ谷のお店に置いてあり、本当の珍品は目立たぬよう、隅の方にさりげなく置いてありました。それを見つけて、こんなものがあったんですか、と言うと、売る気がないから、と笑っておられました。

また、鑑定書は書かないが保証書は付けると言われてました。これは、鑑定書は責任が無い、鑑定の誤りでした、と言ってしまえばそれでおしまいであり、保証書ならいつまでも真正品であることを保証することを意味するとのことでした。

何を買ったときかは忘れましたが、保証書を書きましょうかと言われたことがありました。その時、真贋の判らぬ奴に見せてもしょうがないので、保証書は結構ですと申し上げたところ、全くその通りだよ、と笑っておられました。
古銭を知らない第三者から見れば不思議な会話に思われたことでしょう。

いろいろなお話をうかがう中で、拓本のことも思い出深いものです。蜀五銖をいただいて、山形に帰ってから拓本を採ったところ、見た目よりはるかにきれいに拓が採れ、次にお会いしたときに話したところ、本物は拓が生きるが、贋物は拓を採ると馬脚を現すと教えていただきました。

相沢先生の収集品が出たとき、西夏蕃字銭が3枚有り、そのうちの1枚は是非欲しいとお願いし、乾祐寳銭をいただきました。ところがその後、天慶寳銭を購入した収集家が寛永銭でどうしても欲しいものがあるからと手放し(確か万延巨字だったと思います)、タイミングよくそれも私がいただき、最後の大安寳銭も札幌展示会に貸し出していたのが戻ったときに譲っていただき、3枚とも入手できました。

近年、インターネットのオークションにいかがわしい西夏銭が多く見られますが、本物はこうでなくちゃいけない、という現物が手元にあり、惑わされる事はありません。

穴銭の収集家はめったに売らないから一度贋物を掴まされると死ぬまで気付かないから大変だよ、と伺っております。それを悪用する業者も少なくないものだと思うと心中は暗澹としてきます。

石塚先生とシルクロードの話をしている時、高昌吉利銭が話題になり、大珍品だが一度は手に入れてみたいとのお話でした。そうしたらその後まもなく、ある展示会で入手し、見せてくれました。私も好きなものですから、是非いただきたいとお願いしたところ、いいよいいよ、持って行きなさいと、気持ち良く譲っていただきました。

シルクロードの話をしていて話題になった古銭は、西夏蕃字銭、高昌吉利銭とともに、20世紀初頭西域を探検したスタインがホータンで発見し、東大の榎教授の学位論文になったシノ・カロシュティー銭でした。

西夏蕃字銭、高昌吉利銭は入手でき、石塚先生と喜びましたが、シノ・カロシュティー銭は未だに入手できず、一緒に喜ぶことができなかったのが残念です。このシルクロードを古銭でたどることを教えてくれたのは石塚先生で、行き着く先はペルシャ通り、ローマ、ギリシャであり、私の収集品にも幅と発展性ができました。もともと穴銭にしか興味はなかったのですが、ローマ、ギリシャ、ペルシャの貨幣も実に魅力的で、今後更に増やしていきたいと思っています。

古銭の話をしていると時間を忘れ、所持金も忘れ、私が持参したいくばくかのお金をほったらかして話し込んでいたとき、ちづるさんが見つけて半ば呆れたような、半ばうらやましそうな顔をしていたのが思い出されます。

これまで古銭の展示会や何軒かの古銭商をみましたが、レベルの差を感じたものです。石塚先生の古銭は状態がよく、真贋に関しても安心でき、本物の見本になるものでした。
古文銭では特にいかがわしい物を方々で目にしましたが、やはり本物を多く見せていただいたのがよかったものと感謝しています。

石塚先生を見て思うのは、先生以外に収集家を指導できる業者はまずいないのではないかということです。
真贋を見る眼力、知識の深さ、何をとっても群を抜いていました。古銭の希少性を漏り立てることもなく、時代背景など、当時の経済状況まで含めたお話は、私が受けた大学の教養部の経済学の講義よりはるかに面白くハイレベルなものでした。

これからも年に何回かはお邪魔できると思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。"


お父さん、お父さんはコイン商として本当に幸せでしたね。
父を理解し、信頼してくださったお客様方、本当にありがとうございました。

平成16年8月7日
ちづる 名前: ちづる
生年月日: 年齢不祥(ということにしておいて)
趣味: パチ○○(大きな声じゃ言えないが)
好きな食べ物: お寿司・ライチ(楊貴妃が好んで食べたから)
好きな時間: 仕事が終わってビールを飲む時
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