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〜試鋳貨「卍壽無弦」との出会い〜

コイン商を営んでいると、何年に1回だが、実に惚れ惚れするコインに出会う事がある。

先日、亡父が生前懇意にしていただいていた業者の方にお会いして、穴銭を仕入れる為に
何百枚もの穴銭を見た。皇朝銭「長年大宝」−鋳溜りはあるが、書体がハッキリしていていい。
「朝鮮八分書」−これも種類がいろいろあって面白い。「永楽通寶」「島銭」「鐚銭」・・・所持金も考えずに、状態のいいものをピックアップしていく。
どうも私の悪い癖で、気に入ったコインがあると値段も考えずにあれもこれも欲しくなってしまう。

そして最後にコインブックのページに1枚だけ忘れられたように入っているコインに目が止まった。「試鋳貨 卍壽無弦」正直言ってビックリした。

「こ、コレ何ですか?」

思わずどもった。

「水戸の『萬壽無弦』の試鋳貨。本物だよ。」

「欲しい!欲しい!絶対欲しい!!どうしてみなさんこれを手に入れようとしないんですか?」

「私もすぐ売れると思ったけど、4・5年このまんま。」

さすがに価格をたずねると、「○○万円」うーん、そりゃ皆考えるよ。
私も資産が2600億あれば(笑)迷わず手に入れるけど…
小規模会社の「ドラゴン商会」無限責任社員として、経営上の事も考えなければいけない。
「あー、でも欲しい。自分のコレクションにしてもいい。」
頭の中でいろいろな思いが交錯する。そこへ偶然だが同業者の方が
と、入っていらした。何?○○万円…

「ドラゴンさーん、ここで会えてよかった。先日の○○万円お支払いします。」

「萬壽無弦」と同じ金額じゃないか。思わず

 「買った!!」

と叫んでいた。後はもう上の空。嬉しくて嬉しくて、落とさないようバックの1番下に丁寧にしまい込み、店へ帰ってすぐ開けてみた…
あー、何という品格だろう。西夏の「梵字銭」も好きなコインだが、厚みといい帯白質の金質といい…いやそれよりも切れのいい書体、正に試鋳貨というべきだろう。
「卍壽無弦」という銘もステキだ。「卍」は仏書に用いる「万」の字。
誰が命名したんだろう。それから毎日朝に眺め、夕べに撫でて、お客様がいらっしゃると

 「見て!見て!いいでしょ。」

と、まるで自分の子供のような有様。
5日後、前回ちづるの独り言でお手紙を紹介させていただいた亡父の長年のお客様が
偶然御来店された。いろいろお見せした後で、そっと

「こんなものが手に入ったんですが・・・。」

と、桐の箱に入れてある「卍壽無弦」をお出しした。
本当は最初からお見せしたかったが、鑑識眼のある方なので、恥ずかしくて躊躇していた。
すると、お見せした瞬間、眼がらんらんと輝いて

「いいですね。いいですね。」

と、何回もおっしゃってくださり、ずっと御覧になる。

 「もぅ、欲しくて欲しくて、手に入れちゃったんです。」

と言うと、

 「そうでしょう・・・そうですよね。」

と、賛同してくださる。私は思わず涙ぐみそうになり
自分と同じ感動を味わっていただけるお客様がいらっしゃる事が嬉しくて

 「あー、手に入れてよかった。他のどのお店にも渡らずに、私を待っていてくれてよかった。」

と、真に思った。自分が気に入って仕入れたコインをお客様と喜べるという
コイン商冥利につきる「卍壽無弦」との出会いであった。

平成16年10月8日
ちづる 名前: ちづる
生年月日: 年齢不祥(ということにしておいて)
趣味: パチ○○(大きな声じゃ言えないが)
好きな食べ物: お寿司・ライチ(楊貴妃が好んで食べたから)
好きな時間: 仕事が終わってビールを飲む時
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